テーマ本箱
聖フランチェスコの本箱

フランチェスコ

キッカケは、andymoriの「ファンファーレと熱狂」の1984。「花に囲まれて」、「親たちが追いかけた白人たちのロックスター」、「か弱い僕」といった歌詞とノスタルジックなメロディーラインが、ヒッピー、フラワームーブメント、米国はサン・フランシスコという連想から、その語源にあたる聖人を巡っていた頃を想起させるのだ。キリスト教教会史のなかでも最も知られている黄金伝説の一人でもあるのだけれど、幼な心に聖フランチェスコという人物はとりわけ印象深い。放蕩息子の回心、小鳥に説教するエピソード、今でいう「ハンセン病」の罹患者と生活をする、スティグマを受ける、などなど。

そうだ、こうした原風景を持ちながら、1990年の欧州放浪の最終地をアッシジに選んだったのだ。小雪の舞う三月、桃色の大理石で構築された城壁の内外を、聖人と交感するような気持ちで小さな丘を徘徊するなかで気がついたのは、過去や未来を越えた魂の記憶につながる場所ではないかという確信である。導かれるように須賀敦子とリンクし、呼ばれるようにアッシジには何度も訪れることになった。そして、海上を歩いたというヴェネチア、スティグマをうけたというラヴェルナ山まで巡礼していたことを思い出しながら、聖フランチェスコのフラジャイルな強さへと回帰するべく、その啓示となる本箱を作ってみた。

 

まずは「黄金伝説」をベースにしながら読み進めていくのがよいだろうか。そして、日本の類縁ともいえる良寛、明恵上人などへも拡げていくことも考えていきたい。ココも仮留めである。

【アッシジとフランチェスコの本箱】

 

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