ワークショップ
【本活体験記Vol.5】ワークショップ編  Fさんの場合

ちらほら銀杏も色づきはじめた中之島。少し分厚めの雲が太陽を隠す不安定な天候ながら、京阪電鉄なにわ橋のアトリエB1には和やかな語らいが溢れていました。11月10日(日)に開催された、読者力養成ワークショップ「本活」第三回目のひとこまです。

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第1部の講義で、隆祥堂書店の二村知子さんから本に対する熱い思いをうかがった後、休憩(おやつ付き♪)を挟んでの第2部では、「本を体当たりで勧める極意を掴む」ワークショップが開かれました。進行役は、ブックショップエディターとしても活躍されている大音美弥子さんです。

3テーブルに分かれてまず語り合ったのは、「贈りたい本」と「贈られて嬉しい本」の違いについて。「贈りたい」のは、[自分の人生に大きな変化を与えてくれた][感動した][その人の好みに合いそうだなぁと思った]本で、「贈られたい」のは[自分では選ばない・気づかない・知らない][自分のことを思って選んでくれた][贈ってくれた人の思いがこめられている]本…などなど、多くの意見がだされました。中には、「よく知らない人には本を贈りたくないし、贈られたくもない」といった意見も。「本を贈る」という行為は、なかなかハードルが高いようです。

本を贈る・贈られるときの気持ちを再認識した上で、次に取り組んだのは、各自が持参した本の「贈りたい」箇所(文章)に付箋を貼っていくワーク。「贈りたい『箇所』なんて、考えたことなかったなぁ…」といった戸惑いの声も上がりましたが、先の第一部で目の当たりにした、付箋がぎっしり貼られた二村さんの「おすすめ本」を思い出し、すぐに作業に集中。賑やかだった会場に静寂の時間が訪れました。

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「贈りたい箇所」をピックアップして「贈りたい気持ち」の整理がついたところで、手元に配られたのはさまざまな形のカード。このカードに、本と一緒に贈るメッセージをしたためようというワークです。大音さんからは、「自由な形のメッセージでもいいけれど、五七五(俳句型)や五七五七七(短歌型)、七七七五(都々逸型)などの定型詩にしてみると面白いかも」という提案が。例として、折句(七七七五の文頭の文字をつなげると意味のある言葉になるもの)を使ったメッセージを紹介されました。これを見て、参加者それぞれの「クリエイティブ魂」に火がついたよう。カラフルなペンやシール、リボン、デコレーショングッズを利用してのカード作りがはじまりました。(小学校の工作の時間のようで、皆さんとても楽しそう!)

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最後に、参加者お一人ずつ、カードと「贈りたい本」の発表です。本との印象的な出会いを語る人、「大人にも子どもに楽しんでもらえる本だから」と不特定多数の『読者』を想定して語る人、心に残った箇所を紹介しつつ自分の思いを重ね合わせる人…などなど、十人十色の『贈り方』がそこに。中には、ご自身が発行に関わった本を持ってこられた方もいて、熱い思いを語ってくださいました。『贈りたい』という気持ちがこもった本は、すべて誇らしげに輝いていて、全部読みたい!と思ってしまうほど。『本を贈る』という行為の難しさと楽しさ・素晴らしさを体感できたワークショップとなりました。

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※  ワークショップ後、実際に本を贈ろうと有志で「本の交換会」が実施されました。誰がどの本を受け取るか分からない形で交換された本を手に「スピーチを聞いて、すごく読みたいなぁと思っていたので嬉しいです!」「作者も作品も初耳。読むのが楽しみです」「高齢の方向けの本なのに、まさか若い方にお渡しすることになるなんて・・でもきっと『気づき』があると思いますよ」など、初対面の方同士でも会話が弾んで大賑わい。「本の力」をあらためて感じずにはいられませんでした。

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クリスマスや誕生日プレゼントなど。このワークショップに参加された皆様はきっと、大切な人に本のプレゼントをされるのではないでしょうか。『本を贈る』という行為、日本中に広まっていくといいなぁ♪

<参加された皆様の「贈りたい本とカード」 >

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