肉食は人の血潮のなせるわざ

『世界屠畜紀行』内澤旬子

『世界屠畜紀行』内澤旬子

韓国・エジプト・アメリカからチェコ・モンゴル・沖縄まで世界各地の屠畜場を訪れて、運ばれてきた牛や豚が切り開かれ、血を流し、解体されて我々が普段口にする「肉」となっていく過程をつぶさに追う。命の在り方、命との向き合い方ってなに? 動物を殺して食べることは罪悪?「かわいそう」なこと? 我々の生活から屠畜の過程が隠されているのは確かに何かしらの問題を孕んでいると思わせる。同じ著者の『飼い喰い 三匹の豚とわたし』はもっとすごい。実際に豚を半年間飼育して、それを自ら屠畜場へと運んで皆でそれを食べたという記録。名前をつけて愛着が沸いても、それでも「かわいそう」だからやめようとはならなかった。人間ってなんなの?(おかむー)

【五感連想】

  • 食べたくなるもの:プサンかソウルで網で焼いて食べるホルモン
  • 聞きたくなる音楽:くふきの「サムギョプサル」
  • 想起する風景:フードロス大国日本のゴミ捨て場
  • 連想するモノやコト:ダミアン・ハーストの分割された牛
  • つながる本:『ぼくらはそれでも肉を食う―人と動物の奇妙な関 係』ハロルド ハーツォグ