かぶく本箱
歌舞伎座新開場を言祝ぎ江戸を辿る

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ついに歌舞伎座新開場!2日の初日には、ちょっと並んだら幕見で運良く第二部の『弁天娘女男白浪』を観ることができました。「知らざあ言って聞かせましょう」の弁天小僧、音羽屋ぁぁ!「問われて名乗るもおこがましいが」の日本駄右衛門、播磨屋ぁぁ!遠い幕見席からも役者たちの気合いは十二分に堪能。

開場前にはサントリー美術館でタイミングな企画展『歌舞伎 ― 江戸の芝居小屋 ― 』が開催されました。よくぞここまで集めてくれた級な、歌舞伎発祥時の時代の空気満載の、記録の数々。戦乱がようやく収まり、江戸時代の確立を待っていたかのように出雲阿国の念仏踊りが人気を集め、歌舞伎に発展した系譜。その非日常な世界はまさに人々の夢の芝居小屋。正真正銘のファッションリーダーだった役者たち。そんな雰囲気が再現された美術館でした。

歴史を追うと、元禄から文化・文政時代への怒涛の歌舞伎人気に連動した、浮世絵の発展がまずひとつ。その芸能の爛熟と国学の興隆は、背中合わせだったと思うのです。歌川国芳の武者絵然り、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』然り。葛飾北斎画、のちに三島由紀夫が脚本化した、馬琴の『椿説弓張月』も暗示的。『開巻驚奇侠客伝』に至っては正真正銘、南朝贔屓でした。

この流れを解読することが、目下の私の愉しみなのです。その助けとなる解読中・愛読中・熟読中の本たちは、以下のとおり。まだまだこれからも読み進めていくのですが、どなたかツボな本を御存じでしたら、教えてくださいませ。

 

南総里見八犬伝〈1〉 (新潮日本古典集成)曲亭 馬琴 (著)

河原者ノススメ―死穢と修羅の記憶   篠田 正浩 

 「菅原伝授手習鑑」精読――歌舞伎と天皇 (岩波現代文庫)犬丸 治 (著)

逆説の日本史 16 江戸名君編~水戸黄門と朱子学の謎 井沢 元彦 (著)

日本藝能史六講 (講談社学術文庫 ) 折口 信夫 

江戸演劇史(上)(下) 渡辺 保 (著)

元禄文化 遊芸・悪所・芝居 (講談社学術文庫)守屋 毅 (著)

『かぶく者』[コミック] たなか 亜希夫 (著), デビッド・宮原 (原著)

『蠢太郎 』(ビッグ コミックス〔スペシャル〕) [コミック] 村上 もとか (著)

by 牛丸

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