テーマ本箱
「死者の書」の本箱

死者の書カバー

した、した、した…こう、こう、こう..
折口信夫の「死者の書」を読むための本箱をつくってみた。まず、オススメしたいのは安藤礼二編集による「初稿・死者の書」である。表題となる「初稿・死者の書」に加え、自伝的小説となる「口ぶえ」、空海をテーマにした「死者の書・続編」、そして大嘗祭をめぐる論考が1冊に編集された画期的な本になっている。また、得体のしれない魅力を感じながらもなかなか読み進められないもどかしさを解消してくれるのが川本喜三郎の人形アニメ。これらがこの本箱の二柱となる。加えて、折口信夫最後のお弟子さんにあたる岡野弘彦さんの評伝が三柱になろうか。

安藤礼二の論考の恩恵をうけてにわかに活性化した日本霊性の時代への注目は、若松英輔の死者論によって増幅している。その日本的霊性の起点としていま読み解いていきたいのが折口信夫の「死者の書」なのだ。中将姫伝説に自らの生い立ちを重ねながら、神と仏を止揚するかのような光の曼荼羅は神々しくも寂しい。「死者の書」に描かれた日本文学の起源に立ち戻る霊験と音づれこそ、3.11を経て今を生きる糧になるのではないかと、そんな風に思うのだ。

【死者の書の本箱】



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