生命の不思議に立ち会い、獣との交流に目覚めていく少女が、国家の動乱へその運命に翻弄されながら生きていく物語り。NHKのTVアニメでもよく知られた「獣の奏者」全シリーズの本箱です。文庫版でもリリースされている定番ファンタジーということなのか、BOOKOFFでハードカバー100円コーナーに配架されていたところを救出。「精霊の守り人」シリーズでも評価されている上橋ワールドを耽読するのに500円はお値打ち過ぎです。市場原理の恐ろしさを感じつつ、その恩恵に預かることにしました。
連想としてメーテルリンクの「蜜蜂の生活」などと組み合わせてもよいかなと思っているのですが、王道のヒロイック・ファンタジーとして、ジェセフ・キャンベルの神話についての著作をあわせてみました。禁忌を超えて生に目覚めていく少女の物語。ル=グウィンの西のはての年代記などの作品群と重ねても面白いかと思います。みえかくれする連想の糸をさぐりながら、未読の方には年末年始の読書としておすすめします。また、大作にはハードカバーの触感で、手で読む感覚を取り戻していただけたらと思うのです。
■獣の奏者の本箱■
◎本編
◎神話・英雄譚論書
◎蜜蜂・生命の不思議
◎西のはての年代記
◎上橋菜穗子ワールド