偏愛
森茉莉 天使の贅沢貧乏

 

『森茉莉 天使の贅沢貧乏』KAWADE夢ムック
「あらゆる出来合いのものが、本物を凌いで隆盛を誇っている」戦後の日本に噛み付いた、天下御免の偏愛家。この本は、その生誕百年を記念して出された「文藝別冊」である。表紙をめくれば「森茉莉アルバム」。粒よりエッセイにつづくのは、お気に入りの人との対談や論考や担当編集者インタビュー(『ぼやきと怒りのマリア』を上梓した小島千加子さん)や。彼の人が偏愛した硝子や石鹸やタオルの色とりどり(檸檬色や橄欖(オリイヴ)色や菫色。そして橙の色を一寸燻ませた「煙草色」)が、倉運荘アパートや代沢ハウスの寝台の背に、ずらりかけられているのを見るようだ(oTo)。

●五感連想
食べたくなるもの:アルモンド入りネスレエチョコレエト
聞きたくなる音楽:La Dona e mobile
想起する風景:明治の東京、1920年代の巴里、風月堂、三島由紀夫邸
連想するモノやコト:モノクロ映画、硝子瓶、ダンテルの手巾
つながる本:『ナンシー関 トリビュート特集』

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