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小津づくし本箱

小津P

80年代後半は、ほぼ映画づくし。当時はWEBもないので情報誌「シティーロード」や「ぴあ」をくまなく調べて、映画計画を立てるのが楽しみだった。もちろん、お金もないのでもっぱら名画座でのリバイバル上映がターゲット。だいたいが500円で時間制限もなかった。そんな事情から、大学よりは、バイト先や映画館にいる時間のほうが長かったような気がする。

当時リピートするシリーズでよく観たのが小津安二郎。当時は、蓮實重彦など現代思想系の推しもあって小津VS黒澤などと全作が企画上映されていた。もともとがホームドラマ好きだったこともあるのだけれど、そのスタイリッシュな映像構成美にどハマリしてしまったのだった。生没年月日まで、1903年12月12日 – 1963年12月12日という美しさ。

そう、あらためて生誕110年、没後50年であることに気がついてしまったのだ。おそらく本年は何かしらの小津にまつわるメディア展開があるはず。これはもう、リスペクトとオマージュをこめて本箱をつくらなければならないであろう。そこで暫定的に、手元にある本で構成してみることにした。高橋治による評伝「絢爛たる影絵」、服飾や小物をフェティッシュに取り上げる中野翠、ヴィム・ヴェンダースの追っかけぶり、注目すべき與那覇潤の考察など、それなりに集めることができた。

 

 

そして、「晩春」「麦秋」「東京物語」の三部作についてはいうまでもないが、戦争体験をはさんでのターニング、「東京暮色」などの特異作など、あらためて見直しつつ、言語化してみたい衝動にかられてきた。世界は、「平凡」であることの「非凡」、奇跡のようなバランスで成り立っている「平和」に刮目すべきであると。仮留めアップにて、つづきは時間のあるときに。

 

◎永遠のおじいちゃんキャラ笠智衆のサイン
 ちなみに「東京物語」のおじいちゃん役は48才ぐらいで演じていたという

 

【小津づくし本箱】