a piece of cake
よじれてまっすぐ

芸術実行犯
Chim↑Pom(チン↑ポム)『芸術実行犯』

アートグループChim↑Pom の行為、誰かに似ていると思った。
世間に揺さぶりをかけ当事者を通り越して大きな世論になる。
。。。あ、そっか。大阪市長の橋下さんだ。
でも、橋下さんに感じるものと後味が違う。
なんだろう。

Chim↑Pom は、岡本太郎の『明日への神話』の空白部分に、
原発事故の絵を付け足したり、
原爆ドームの上空に飛行機雲で「ピカッ」という文字を描いたり。
彼らの作品をみた時、呆然とし嫌悪感を抱いた。
と同時に興味をもった。
「いったいどういうつもりで作ったんだろう」。

本書では、作品をつくる過程での視点が丹念に書かれている。
彼らは、当事者の目線で社会の問題を表現しようと対話を繰り返していく。
『広島の空をピカッとさせる』では、
「自分達が当事者でないから原爆に関係する資格はないのか」
「原爆を問題にしてはいけないのか」
ほとんどの人が遠巻きにして関係線を引こうとしない問題に、
自分達をグイッと引き寄せ考える。
表現の仕方は賛否両論があると思う。
しかし、その思い悩む過程にはギュンと心が揺さぶられた。

だんだん、Chim↑Pom の(目にみえている)作品は象徴にすぎず、
作る動機や過程の方がおもしろいと思った。
そして、作品を見た人々の反応や言動に惹きつけられた。
人々は、『明日への神話』に付け足した絵を撤去した空白から
見えない絵を想像し、
広島から続く歴史の中にはっきりと福島を見据えていたそうだ。

読後の後味はすっきりしていた。
真っすぐで
素直なんだろうな。

次は、何を作るんだろう。(くっしー)

【五感連想】

  • 食べたくなるもの:すっぱムーチョ さっぱり梅味
  • 聞きたくなる音楽:『チューインガムをかみながら』THE BLUE HEARTS
  • 想起する風景:東京の交差点の雑踏
  • 連想するモノやコト:大阪都構想
  • つながる本:『なぜ?から始める現代アート』長谷川裕子

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