1970年代末に書かれたルポルタージュ。父島、対馬、波照間島など”離島”、東アジアの国々との接点となる島を巡る(よって、上陸は叶わなかったが竹島や尖閣諸島に関しても1章ずつ設けている)。OPECによる原油の値上げ、200カイリ問題に揺れた時代に改めて「漁」という視点からこの世界の変化の有様を捉え、その根底にある歴史、それぞれの島に潜むこの国の転換点を紐解き直した。例えば種子島に鉄砲を伝えたのは明の時代の貿易商人王直だった。ポルトガル人は彼に雇われた船乗りに過ぎなかった。王直は倭寇と手を組むことで明ではお尋ね者とされたが、実際に危険視されていたのは彼が商っていた、(火薬の原料としての)硝石であったという。(おかむー)
【五感連想】
- 食べたくなるもの:養殖の鯛
- 聞きたくなる音楽:ソーラン節
- 想起する風景:四方八方、灰色の海
- 連想するモノやコト:北方領土問題
- つながる本:『魚影の群れ』吉村昭