チクリと刺す蜂の浪漫
知性と健康と哲学の古代ギリシアにくらべ、ローマは暴力と権謀術数、奢侈と美食、放恣と頽廃に満ち満ちた時代といわれる。どっちが住んで楽しいかは、言わずもがな。「ロマンティック」はローマ的なるものを指すがごとし、だろう。20世紀初頭の英国新聞を賑わせたサキの作品には、そんなローマ的な人間性の発露、言い換えれば悪意と嘘と贅沢な残酷が、料理を美味しくするスパイスのようにふんだんに用いられている。なかでも新潮文庫版には収められていない「クローヴィスもの」が痛快至極。ちくま文庫版は、サンリオ文庫版に新訳を4編加えたもの。
【五感連想】
- 食べたくなるもの:マルメロのジャム
- 聞きたくなる音楽:「Make Me Smile (Come Up and See Me)」Cockney Rebel
- 想起する風景:英国の湖水地方
- 連想するモノやコト:ひまつぶし、百貨店、鉄道旅
- つながる本:『炎の中の絵』ジョン・コリア