いそいそと背中に隠したしゃれ心
京友禅の老舗“岡重”が手掛けた羽織裏が200余点掲載されている。羽裏は羽織をぬいではじめて見えるもの。その瞬間の周りの驚きや感心を企みながらポーカーフェイスで出かけていく“しゃれ者”たちの心意気が楽しい。伝統柄とアールヌーボー調の融合やデカダンな図柄とボカシ技法の組み合わせなどから、時代や技術の節目も垣間見え、史料としての価値もある。(野嶋)
【五感連想】
- 食べたくなるもの:羊羹、カステラ
- 聞きたくなる音楽:ツィゴイネルワイゼン
- 想起する風景:文壇カフェ、お座敷、銀座
- 連想するモノやコト:大正ロマン、昭和モダン、江戸、旦那、ダンディ、令嬢
- つながる本:『アンティーク着物スタイルブック』大野 らふ/『摘録 断腸亭日乗』永井 荷風