追う者と追われる者の浪漫
49歳の若さで亡くなったスコットランドの旅行記作家、ブルース・チャトウィンの処女作にして代表作。幼な心に眠っていた南米パタゴニアの地を30代半ばにして訪れた。そこは世界の果てにして、名もなき流れ者の末裔たちが住むところ。はるばるブエノスアイレスに逃れてきた列車強盗たち。フランスから移住してパタゴニア国王を名乗った男。チリに革命を起こそうとしたアナキスト。語られるべき歴史は、国家や社会ではなく、家族や個人という最小の単位に分解されて剥きだしのまま、誰かがそこを通り掛かるのを何十年と待っていた。(おかむー)
【五感連想】
- 食べたくなるもの:スコッチウィスキー
- 聞きたくなる音楽:アストル・ピアソラの単語
- 想起する風景:パタゴニアの大自然
- 連想するモノやコト:吹き付ける風、旅行鞄、荒天
- つながる本:ブルース・チャトウィン『ソングライン』