経済観念が皆無の魔女ではあり、経済小説なんぞを読んでみる。といってもこれは全くのフィクションではあるが、なかなか原初的経済システムが現在とほぼ変わっていないことがわかり興味深い。
ルイ王朝下のパリ。追い剥ぎ家業の青年がひょんなことから、株売買の実業家になってしまう。この時期に紙幣が現れ、株ができる。株は、アメリカ開拓のミシシッピー会社株。大商いがあり、売り買いを繰り返し利ざやを稼ぐ手口や、小口の株を集めるねずみ講があり、見事な買い支えで王家を救い、のし上がる主人公。しかし確実にバブルは破綻する。青年アルノーをはめようとするのは、アルノーのもとへ走った娘を、貴族のヒヒ爺にとつがせたがっている親父であるが、その悪だくみを知って、密かに対抗策を講じるのが、なんとその小娘で、彼女は破綻を見越して、実質的貨幣の金貨をしこたま貯えておく。やがて、国家の介入でバブルははじけて、危うく殺されかけた青年を助けることになるのが、娘の金貨。
これは、なんか今の社会となんら変わらない株と紙幣発行の仕組みで、違いと言えばコンピュータがないということだけ。数字のことは何も分からないが、少女が一番まっとうで、危機に強いというお話は、笑える。そう言えば、昔から株屋って、男ばかりだったなーと思った。
魔女:加藤恵子