偏愛
もしかしたらエルロイよりもLAを偏愛?

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『LAヴァイス』トマス・ピンチョン

超重量級百科辞典小説『V.』(1963)『重力の虹』(1973)で名を馳せたトマス・ピンチョンが00年代の終わりに発表した問題作。例によって『ギリガン君SOS』から薔薇十字団までありとあらゆるサブカルチャーを詰め込んで圧倒的な密度なんだけど、「割と」読みやすいのは探偵小説というジャンルの枠組に沿って情報のアトサキが整理されているからか。1970年のロサンゼルスの街を細部にこだわりまくって原寸大のポップアートのようにヴィヴィッドかつグルーヴィーに再現するわけですが、このときピンチョンは何歳? この若々しさはいったいなに? 経歴や素顔は依然として不明のまま。話を広げるだけ広げて、やはりすんなりとは解決してくれない。(おかむー)
【五感連想】

  • 食べたくなるもの:マカロニ・ウェスタンのマカロニ
  • 聞きたくなる音楽:脳天気なサーフデリック
  • 想起する風景:1960年代末の南カリフォルニア
  • 連想するモノやコト:コーエン兄弟の映画「ビッグ・リボウスキ」辺り
  • つながる本:『ガルガンチュワ物語』ラブレー