世の中にアウトサイダー・アートというものがあるならば、アウトサイダー文学というものもあるはずであって。僕にこの本を薦めてくれた友人は「精神を病んでいる」と言っていた。ストーリーも言葉遣いも皆破綻していて、読んでいてとにかく怖くなる。均衡の狂った何もない世界。音楽の好きな女の子が登場して、結婚することを夢見ている。周りの人たちも善良だ。脈絡なく出来事が語られて、続いていって、終わる。行間に、その奥底に、途方もない闇が広がっているのが垣間見えた。本を開くと著者近影として写真が載っている。髪の長い、ぱっと見、美人な人だけど、その目はとても虚ろだった。ゾッとすると同時に切なくて、寂しい気持ちになった。(おかむー)
【五感連想】
- 食べたくなるもの:イチゴの乗ったショートケーキ
- 聞きたくなる音楽:フルートの入った室内楽
- 想起する風景:誰もいない庭先の風に揺れるブランコ
- 連想するモノやコト:アウトサイダー・アート
- つながる本:『Songs in the Key of Z』アーウィン・チュシド