乙女たちのロマン
演劇に生きる少女たちを描いた少女マンガの金字塔。昭和50年に連載が開始され現在も続いている。貧乏でみそっかすの少女が、演技の才能を見出されて演劇界で生きていく。一種のシンデレラストーリーだが、王子様とたがいの思いを確認するまでに連載開始から36年(!)かかっている。その間描かれてきたのは、主人公とライバルが、演じることで自分の生きる場所を見つけようとする姿だった。天才肌の主人公は演じる対象そのものになりきり、努力家のライバルは演技の技術をとことん洗練させる。ふたりの行動やセリフは、ほとんど存在論になっている。そこに読者の悩める乙女たちは、自分の夢を重ねあわせ、勇気をもらってきた。これこそロマンの効用だろう。少女たちのロマンは白馬に乗った王子様を待つことだけではないのだ。(YY)
【五感連想】
- 食べたくなるもの:
- 聞きたくなる音楽:
- 想起する風景:河原、地下劇場、梅の木
- 連想するモノやコト:
- つながる本:『エースをねらえ』『アラベスク』